中小企業診断士試験 勉強④1次企業経営理論

中小企業診断士

こんにちは、前回の記事では財務会計の勉強方法についてご紹介しましたが、今回は1次試験のもう一つの重要科目、企業経営理論の勉強方法を詳しくお伝えします。企業経営理論は、中小企業の経営に関する基本的な知識を問われる科目であり、合格に向けたステップを確実に踏み出すための方法を解説します。

企業経営理論 科目設置の目的

 (科目設置の目的)
企業経営において、資金面以外の経営に関する基本的な理論を習得することは、経営に関する現状分析及び問題解決、新たな事業への展開等に関する助言を行うにあたり、必要不可欠な知識である。また、近年、技術
と経営の双方を理解し、高い技術力を経済的価値に転換する技術経営(MOT)の重要性が高まっており、こうした知識についても充分な理解が必要である。このため、経営戦略論、組織論、マーケティング論といった企業経営に関する知識について、以下の内容を中心に判定する。

1.経営戦略論
⑴経営計画と経営管理:マネジメント・サイクル、期間別経営計画、意思決定の階層構造、経営管理の原則、意思決定プロセス
⑵企業戦略:外部環境分析・内部環境分析、事業領域(ドメイン)の決定、階層別戦略(事業戦略、機能戦略)、戦略立案プロセス、組織と戦略(事業部制、カンパニー制、持株会社等)、組織文化と戦略
⑶成長戦略:成長のマネジメント、多角化(シナジー、多角化戦略の分類)、M&A、戦略的提携
⑷経営資源戦略:経営資源、PPM(SBU、製品ライフサイクル、経験曲線、市場占有率 等)
⑸競争戦略:業界の競争構造分析、競争回避の戦略、競争優位の戦略(コストリーダーシップ、差別化、集中)、競争地位別戦略(チャレンジャー、リーダー、フォロワー、ニッチャー)、デファクト・スタンダード、コア・コンピタンス
⑹技術経営(MOT):技術戦略(技術戦略の策定(技術の特徴把握・評価、自社資源の評価、外部資源の活用(共同開発、技術導入 等))、特許戦略)、研究開発管理(研究開発組織(組織形態、管理者の役割、技術者の人事管理と能力開発)、研究開発計画と開発プロセス、予算管理と特許管理)、イノベーションのマネジメント、知識経営(ナレッジ・マネジメント)
⑺国際経営(グローバル戦略)
⑻企業の社会的責任(CSR)
⑼その他経営戦略論に関する事項

2.組織論
⑴経営組織の形態と構造:組織形態(職能制組織、機能別組織、事業部制組織、マトリックス組織)、組織の構成原理(コミュニケーション、命令の一元性、分業・専門化と調整、権限と責任)
⑵経営組織の運営:意思決定システム、モチベーション(マズローの欲求段階説、ハーズバーグの2要因理論、ヴルームの期待理論)、モチベーション管理、モラール管理、リーダーシップ(特性理論、行動理論、二次元論、状況理論)、経営者・管理者行動、組織と文化(経営理念、組織風土と組織文化)、組織活性化(一体化度、無関心度、組織開発、小集団活動、ナレッジ・マネジメント/組織学習)、組織間関係(組織間関係の類
型、分析モデル(資源依存、組織正当性、エージェンシー、組織エコロジー)、ネットワーク組織、クラスター)、企業統治(コーポレート・ガバナンス)、組織のパワーとポリティクス、組織変革(チェンジ・マネジメント)
⑶人的資源管理:労働関連法規(労働基準法、労働組合法、労働安全衛生法、労働保険、社会保険、労働者派遣法)、人事・労務情報(職務分析の意義と方法、人事考課の意義と方法)、雇用管理(採用、配置、人事異動・昇進、資格制度)、能力開発(教育訓練・能力開発の種類(階層・目的)、能力開発の方法(OJT、Off - JT、自己啓発)、組織開発の意義と方法)、賃金管理(賃金体系、基本給類型の体系、職務評価方法)、作業
条件管理(労働時間管理、労働安全管理、労働衛生管理)、経営戦略と人的資源管理の適合性
⑷ その他組織論に関する事項

3.マーケティング論
⑴マーケティングの基礎概念:マーケティングの定義、マーケティング・コンセプト、マーケティングの機能、ソーシャルマーケティング
⑵マーケティング計画と市場調査:マーケティング目標設定(目標売上高、目標利益、市場占有率)、標的市場の設定と接近(市場の分類、総合的市場接近法、市場細分化接近法)、マーケティング・ミックス(製品ライフサイクル、マーケティング目標と戦略、マーケティング・ミックスの展開)、市場調査の意義と方法(市場調査の目的、対象領域、種類、プロセス)
⑶消費者行動:消費者行動の決定要素とプロセス(基本的決定要素と環境的決定要素、消費者行動のモデル)、心理的決定要素(ニーズ、動機付け、態度、学習、パーソナリティ)、社会的決定要素(家族、準拠集団、社会階層、文化)、意思決定(評価基準、ブランド選定の規則)
⑷製品計画:製品の意義(製品の定義、製品の種類:消費者用品(最寄り品、買回り品、専門品)・産業用品(原材料、主要設備品、補助設備品、構成部品、加工材料、業務用消耗品、業務サービス))、プロダクト・ミックス(定義、プロダクト・ラインの幅と深さ)、ブランド計画(ブラン
ドの利点、種類、ブランド・ネーム、マルチブランド、ブランド・ポジション)、パッケージング計画(意義、目的、開発)
⑸製品開発:市場性評価(市場動向分析、競合分析)、マーチャンダイジング(製品企画・仕様・デザイン、製品技術・製造コスト、テストマーケティング、製造計画、商業化(市場化)計画)
⑹価格計画:価格計画の目的と設定要因(価格目的、価格決定の検討要因、価格決定プロセス)、価格政策(開拓的価格政策、心理的価格政策、販売促進的価格政策)、価格決定(費用志向的価格決定、競争志向的価格決定、小売価格の決定、製造業における価格調整)
⑺流通チャネルと物流:流通チャネルの機能と種類(チャネルの目的、チャネルの機能、チャネル統合、チャネルの種類)、流通チャネル政策(開放的流通チャネル、選択的流通チャネル、専属的流通チャネル、流通チャネルの評価と管理)、物流(受注処理、物資の取扱い、保管、在庫管理、輸送、サプライチェーン・マネジメント)
⑻プロモーション:プロモーション政策(プロモーション・ミックス、プッシュ政策、プル政策、プロモーション戦略と製品ライフサイクル)、人的販売(役割、販売員の種類、進め方、販売員管理)、広告(広告の定義、種類、広告計画、媒体計画、広告表現)、販売促進(目的、種類、消費者向け:サンプリング・プレミアム・クーポン・教育・コンテスト・スタンプ、流通業者向け:ディーラーコンテスト・ヘルプス・販売助成・報奨金・プレミアム・特別出荷、社内向け:実施プログラム、関係法規:景品表示法 等)、PR(内容、必要性、使用媒体、方法、パブリシティ)
⑼応用マーケティング:関係性マーケティング、顧客関係性管理(CRM)、サービス・マーケティング、ダイレクト・マーケティング
⑽その他マーケティング論に関する事項

科目設置の目的に基づく勉強の注意点

この科目が設置されている背景には、中小企業の経営における基本的な理論や知識を習得し、実務に活かす能力を養うことが求められています。以下に示すポイントに注意しながら、効果的な勉強を進めましょう。

経営戦略論の注意点:

  1. 理論と実務の結びつけ: 学んだ理論を実際の事例に結びつけて考えることが重要です。理論だけでなく、その理論を具体的な企業の事例に適用してみてください。
  2. 戦略の階層構造を理解: 企業戦略は階層的に展開されます。事業戦略、機能戦略、技術戦略など、階層ごとの戦略の関連性を理解しましょう。
  3. 市場分析の重要性: 競合環境や市場動向を分析する能力が求められます。外部環境分析と内部環境分析を両方行い、経営戦略に反映させる方法を学びましょう。
  4. 組織文化と戦略の調和: 組織文化と経営戦略は密接に関連しています。組織の文化が戦略の遂行にどのように影響を及ぼすかを理解し、調和を図る方法を考えましょう。
  5. 成長戦略のバリエーション: 成長戦略には多角化やM&Aなどのバリエーションがあります。それぞれの戦略の特徴や成功事例、注意すべきポイントを把握しましょう。

組織論の注意点:

  1. 組織形態と構造の理解: 組織形態や構造の種類を理解し、それぞれの特徴と適切な場面での活用方法を把握しましょう。
  2. リーダーシップとモチベーション: リーダーシップの種類やモチベーション理論を学び、組織内での役割や影響力を理解しましょう。
  3. 組織変革の管理: 組織変革は効果的なマネジメントが求められます。チェンジ・マネジメントの手法や成功事例を学んで、変革を進めるスキルを身につけましょう。
  4. 人的資源管理の法規と実務: 労働関連法規や人的資源管理の実務を理解し、労務管理や能力開発のポイントを把握しましょう。
  5. 組織文化と経営組織: 組織の文化が経営組織に与える影響を理解し、良好な組織文化を築くための方法を学びましょう。

マーケティング論の注意点:

  1. マーケティング基本概念の理解: マーケティングの基本的な概念やコンセプトを把握し、マーケティングの重要性を理解しましょう。
  2. 市場調査の重要性: マーケティング計画の基盤となる市場調査の方法や意義を理解し、正確な情報を収集するスキルを養いましょう。
  3. 消費者行動の分析: 消費者の行動や意思決定プロセスを理解し、商品やサービスの提供に活かす方法を学びましょう。
  4. 価格戦略と競争力: 適切な価格戦略の設計や競争力の維持方法を学び、市場での地位を築くための手法を理解しましょう。
  5. プロモーションとコミュニケーション: マーケティング・ミックスの一環として、効果的なプロモーション戦略やコミュニケーション手法を学びましょう。

総じて、企業経営理論科目の勉強では、理論だけでなく実務にどのように応用するかを意識しましょう。具体的な事例やケーススタディを通じて学び、経営の複雑な課題に対する解決策を考えるスキルを養いましょう。

企業経営理論のポイント

企業経営理論は、中小企業のビジネス運営に関する基本的な概念や原則を理解し、実務に活かす能力を試される科目です。この科目では、経営の目的や戦略、組織の構築、市場の動向など、ビジネスのあらゆる側面を学びます。試験に合格するためには、以下のポイントを重点的に学習する必要があります。

  1. 基本概念の把握:まずは企業経営に関する基本的な概念をしっかり把握しましょう。ビジネス用語や経済用語を理解することで、後の学習がスムーズに進みます。
  2. 理論と実務の結びつけ:学んだ理論を実際の中小企業の事例に結びつけて考えることが大切です。理論だけでなく、その理論をどのように実務に応用するかを考えてみましょう。
  3. 事例分析の練習:過去の成功や失敗事例を分析することで、実際のビジネス状況に対する洞察を深めることができます。自分の意見を展開し、その根拠を明確に示す練習をしてみましょう。
  4. 模擬試験の活用:過去の試験問題や模擬試験を解くことで、出題傾向や自分の実力を確認できます。試験本番を想定して、繰り返し解いてみましょう。
  5. 関連書籍や資料の読書:ビジネス書や中小企業経営に関する資料を活用して、幅広い知識を得ることが重要です。成功事例や失敗事例を通じて学び、実際の経営にどのように活かせるかを考えてみましょう。

具体的な学習方法

では、これらのポイントを実際にどのように学習に取り入れるか、具体的な方法を解説します。

  1. 基本概念の理解:ビジネス用語集や経済学の基本書を読んで、用語や概念を確認しましょう。ネット上には無料の学習リソースもたくさんあります。
  2. 実際の事例分析:ニュースやビジネス雑誌から中小企業の事例を集め、その経営課題や解決策を考えてみましょう。自分なりの意見をまとめて、他の人と議論することで深化させます。
  3. 模擬試験の解答:過去の試験問題や模擬試験を解いてみましょう。解答する際には、ただ正解を導き出すだけでなく、自分の考えを文章で表現する練習も行いましょう。
  4. 関連書籍の読書:ビジネス書や専門書を読む際には、その内容をメモや要約としてまとめてみましょう。自分の言葉でまとめることで、理解が深まります。
  5. ディスカッションの参加:友人や仲間と一緒にディスカッションを行い、異なる視点を知ることができます。自分の意見を整理し、説得力のある議論を展開しましょう。

企業経営理論を学ぶとできるようになること

企業経営理論を学ぶことで、以下のような能力や知識を身につけることができます。

  1. 戦略的思考: 経営戦略論を学ぶことで、企業のビジョンや目標を設定し、それを達成するための戦略を練る能力が身につきます。外部環境と内部環境を分析し、競争優位を築く方法やリスクを考慮した意思決定ができるようになります。
  2. 組織のデザインと運営: 組織論を学ぶことで、適切な組織構造やリーダーシップスタイルを選択し、組織内のコミュニケーションや意思決定プロセスを最適化するスキルが身につきます。
  3. マーケティング戦略の構築: マーケティング論を学ぶことで、市場分析や顧客行動の理解を深め、効果的なマーケティング戦略を構築する能力が養われます。商品開発、価格設定、プロモーション、流通戦略を戦略的に計画できます。
  4. リスク管理とイノベーション: 技術経営(MOT)の知識により、企業の技術戦略やイノベーションの管理方法を学びます。リスクを軽減しながら新しいアイデアを導入し、競争力を高める手法を理解します。
  5. 国際展開とCSR: グローバル戦略の学習を通じて、異なる国や地域での事業展開方法や文化の理解を得ることができます。また、企業の社会的責任(CSR)について学ぶことで、持続可能な経営と社会貢献のバランスを考える力が養われます。
  6. 問題解決能力の向上: ケーススタディを通じて実務的な問題解決力を養います。複雑な状況を分析し、適切な戦略やアクションプランを策定するスキルが向上します。
  7. ビジネス洞察力の獲得: 企業経営理論を学ぶことで、ビジネスの運営における様々な側面や関連性を理解する能力が養われます。ビジネスに対する洞察力が向上し、意思決定や戦略策定において深い理解を持つことができます。
  8. チームワークとコミュニケーション: グループディスカッションやケーススタディの解析を通じて、他人と協力して問題を解決し、自分の意見を明確に伝える能力が高まります。

これらの能力と知識は、中小企業診断士として企業の問題解決や戦略立案に関わる際に非常に役立つものです。企業の成長と成功に貢献するために、しっかりと企業経営理論を学ぶことが重要です。

最後に

企業経営理論の学習は、中小企業診断士試験合格への一歩を踏み出す大切なステップです。実際のビジネス状況を踏まえつつ、理論を学び、経営の全体像を把握しましょう。

自分の学習スタイルに合わせて、ポイントを押さえながら効果的な学習を進めていきましょう。模擬試験の実施や関連資料の読書を通じて、幅広い視野を持ちながら企業経営理論をマスターしましょう。

成功は努力と継続の積み重ねです。目標を見据え、確かなステップで合格を目指して頑張りましょう!企業経営理論の勉強も、一つの大きな成果として確実に手に入れましょう。

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